受賞一覧
平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)受賞しました
地震津波火山ネットワークセンターの青井真センター長他4名と、雪氷防災研究部門の上石勲部門長他2名が平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受けました。

本表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学大臣が毎年行っているものです。
このうち開発部門は我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与する画期的な研究開発若しくは発明であって、現に利活用されているもの(今後利活用されることが期待できるものを含む)を行った個人若しくはグループ又はこれらの者を育成した個人に授与されるものです。
表彰式は平成31年4月17日に、文部科学省講堂で行われました。
受賞業績:防災に貢献する陸海統合地震津波観測システムの開発
- 受賞者
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写真左から
植平賢司 室長、㓛刀卓 室長、青井真 センター長、淺野陽一 室長、鈴木亘 主任研究員地震津波火山ネットワークセンター
青井 真 センター長(地震津波防災研究部門 部門長兼務)
㓛刀 卓 強震観測管理室長
植平 賢司 日本海溝海底地震津波観測管理室長
鈴木 亘 主任研究員
淺野 陽一 高感度地震観測管理室長 - 受賞理由
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日本は地震大国であるが、陸海を問わず発生する大地震から微小地震まで全てを正確に捉えることは、計測機器の性能や精度の点からもまた観測網の網羅性からも限界があった。
本開発では、即時に震度を計算する機能を備えた広帯域かつ高分解能の観測機器を開発するとともに、東日本太平洋沖に海底ケーブルを展開することで、全国2100観測点から成る世界最大規模の陸海統合地震津波観測網MOWLASを構築し、利活用しやすいデータ配信を実現した。
本開発により、史上最大加速度となる強震動を振り切れることなく記録し、その生成メカニズムを解明した。加えて海域を含む日本周辺で起こる地震の検知が従来と比べて最大で30秒程度早まるなど、地震像の迅速かつ確実な把握が可能となった。それにより緊急地震速報や震度情報、新幹線の運行制御といった民間を含む利活用を飛躍的に拡大させるとともに、強震モニタとして一般への公開を実現し、今起こりつつある震災の軽減にも直接貢献することが可能となった。
本成果は、我が国の安全・安心を脅かす巨大地震およびそれに伴う津波などの迅速かつ的確な事態の把握とその防災への対応に寄与している。
- 主要特許
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特許第4229337号 「計測震度概算装置、それを用いた計測震度概算システム及び計測震度概算方法」
- 主要論文
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「Trampoline Effect in Extreme Ground Motion」Science誌、vol.322、p727~730、2008年10月発表
受賞業績:北海道中標津町における地域密着型吹雪災害予測システムの開発
- 受賞者
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写真左から
上石勲 部門長、根本征樹 主任研究員、中村一樹 主任研究員雪氷防災研究部門
上石 勲 部門長(気象災害軽減イノベーションセンター副センター長、首都圏レジリエンス研究センター副センター長兼務)
根本 征樹 主任研究員
中村 一樹 主任研究員(気象災害軽減イノベーションセンターセンター長補佐、気象災害軽減イノベーションセンター研究推進室長兼務) - 受賞理由
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暴風雪予測情報は天気予報などによる情報が基本となってきたが、それらは比較的大きなスケールを対象としており、地域性や局所性が高い吹雪、暴風雪対策において十分な空間解像度を有するものではない。そのため、暴風雪に対して地域防災力向上に資する予測情報を得ることがこれまで困難であった。
本開発では、北海道中標津町を対象とした面的な吹雪発生予測システムを構築し、空間解像度5kmメッシュで吹雪危険度予測を可能としたほか、予測情報の伝達手法において双方向の情報交換に基づく実践的な仕組みを構築するなど、地域防災に対して有用な手法を確立した。
本開発により、暴風雪がいつ、どこで、どのぐらいの強度で発生するかを当該システムにより可視化し、自治体の防災担当者等が把握できる。それに基づき、暴風雪対応時において無駄な待機時間を減らすなど効率的な体制構築が可能となるほか、通行規制等の開始・解除等について防災担当者が的確な判断が可能となる。
本成果は、暴風雪時におけるスクールバス運行や臨時休校の判断などにも活用されるなど効果的な防災対策や、研究機関と地方自治体との連携による防災力強化のモデルケースの提示に寄与している。
- 主要特許
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特許第5950422 号「吹雪予測システム及び視程予測方法」
- 主要論文
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2014年2月の北海道中標津町周辺での猛吹雪に関する数値実験」東北の雪と生活、第29号、p15~20、2014年9月発表