受賞一覧
令和3年度土木学会技術開発賞を受賞しました
地震津波火山ネットワークセンターの青井真センター長が、共同研究者とともに令和3年度土木学会技術開発賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
本賞は、計画、設計、施工、または維持管理等において、創意工夫に富むと認められる技術(情報技術、マネージメント技術を含む)を開発、実用化し、土木技術の発展を通じて、社会に貢献したと認められる者に授与される賞です。
技術開発件名
- 新幹線における海底地震計を用いた早期地震検知の開発・実装
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受賞理由
地震の多い日本の鉄道にとって、地震対策は重要な自然災害対策の一つである。高速で走行する新幹線では、地震時に列車をいち早く停止させることは極めて重要である。そのために、新幹線では、線路沿線や線路から離れたより震源に近い地点に設置された地震計で観測される地震情報を利用して、線路に主要動が到達する前に列車を減速・停止させる早期地震検知システムを備えている。
本件では、東北地方太平洋沖地震のように海域で発生する地震をより早く検知して、新幹線をより早く減速・停止させるために、早期地震検知システムに近年太平洋沖に整備された海底地震計(S-net)を利用する方法を開発した。このために、海底地震計での地震の検知方法、警報を出力する制御基準値、警報の誤警報防止、および列車を緊急停止させる制御区間の設定方法を開発した。ここで、制御基準値は新幹線の線路沿線から離れるにしたがって高く設定する方法を開発した。
本技術はJR東日本の東北・上越新幹線の 新幹線早期地震検知システムに、千葉県沖の海底地震計が2017年11月1日に、茨城県沖から北海道沖までが2019年1月25日に実装された。その後、実際にこの方法による新幹線の緊急停止が実施されており、新幹線の安全性を向上することができた。
本技術は、地震時の新幹線の安全を向上しただけでなく、在来線での活用や、私鉄や他の交通機関などでも活用が期待されることから、土木学会技術開発賞に値するものである。
