受賞一覧
令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞しました
地震津波火山ネットワークセンターの久保田達矢主任研究員が令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰を受けました。

本表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学大臣が毎年行っているものです。
このうち若手科学者賞は萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満(出産・育児により研究に専念できない期間があった場合は、42歳未満)の若手研究者に授与されるものです。
表彰式は2024年4月17日に、文部科学省講堂で行われました。
受賞業績: 海底観測データに基づく地震と津波と火山噴火現象の研究
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久保田達矢 主任研究員 地震津波火山ネットワークセンター
- 受賞理由
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近年、海底下で発生する巨大地震と津波、火山噴火現象の発生メカニズムの理解に向けて、海底の「その場観測」データの重要性が認識されつつある。しかし、海底観測データには特有のノイズがあるなど取り扱いが難しく、その活用は十分に進んでいたとは言えなかった。
久保田氏は、連続体力学に基づく海底観測データの新たな解析手法を多数考案し、2022年トンガ火山噴火の特異な津波の発生メカニズムや2011年東北地方太平洋沖地震の地震すべりの力学的発生機構を明らかにするなど、海底観測データの活用可能性を押し広げてきた。
本研究成果は、巨大地震発生が懸念されるプレート沈み込み帯での地震と津波シナリオの構築に資するとともに、新たな津波警報の枠組みの構築や情報発信の仕組みの改善につながると期待される。 - 主要論文
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A new mechanical perspective on a shallow megathrust near-trench slip from the high-resolution fault model of the 2011 Tohoku-Oki earthquake
Progress in Earth and Planetary Science、vol.9、68、2022年発表
Global fast-traveling tsunamis driven by atmospheric Lamb waves on the 2022 Tonga eruption
Science、 vol.377、p91〜94、2022年発表
受賞コメント
このたびは、非常に栄誉ある賞をいただき、たいへん光栄に思います。共同研究者の皆さま、議論いただいた皆さま、観測網の維持にご尽力されている皆さま、ご関係の皆さま方に心よりお礼申し上げます。
近年、日本の周辺には多くの海底の地震と津波の観測網が展開されるようになり、地震と津波を詳細に観測・記録できるようになりました。これらのデータを活用し、巨大地震と津波の発生メカニズムの理解、さらには火山噴火現象の理解のための研究を進め、地震学の発展および自然災害の軽減に貢献できるよう一層励みたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。