受賞一覧
2026年 欧州地球科学連合(EGU)地震学部門 Outstanding Early Career Scientist Awardを受賞しました
地震津波発生基礎研究部門 大久保蔵馬主任研究員が、2026年 欧州地球科学連合(EGU) 地震学部門 Outstanding Early Career Scientist Award
を受賞しました。
本賞は、欧州地球科学連合(European Geosciences Union:EGU
)の各分野において、優れた研究業績を挙げた若手研究者に授与される賞です。
授賞式は2026年5月にウィーンにて開催されたEGU General Assembly
にて行われました。
受賞対象研究
- 数値モデリング、地震観測、岩石摩擦実験を統合した研究による、複雑な地震破壊過程と断層力学の理解への貢献
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受賞理由(和訳)
大久保氏は、理論、観測、実験を融合した極めて学際的な研究により、従来の地震学の枠組みを広げ、地震断層の破壊過程の理解を前進させたことが評価された。
動的断層破壊理論に基づく数値シミュレーションでは、岩石の連続体変形と断層周辺の動的損傷を統合的に表現するモデルを用い、断層周辺に形成される損傷が、地震エネルギーの放射と岩石破壊へのエネルギー配分に与える影響を明らかにした。この研究は、断層周辺に残る損傷パターンから地震破壊ダイナミクスを理解するための物理的根拠を構築した。地震観測においては、米国カリフォルニア州サンアンドレアス断層パークフィールドにおける20年にわたる連続地震波形観測データを解析し、地震波速度の微小な変化を捉えることで、断層周囲の速度構造の発展と、ひずみの蓄積との関連について知見を示した。また、南海トラフにおける浅部スロー地震の特性を調べた共同研究にも参画した。そして近年では、サイズおよび形状を制御した人造震源パッチを大型岩石摩擦実験に導入し、断層破壊と断層不均質との相互作用を直接観測する研究を進めている。
大久保氏は、これら一連の研究を通じて、新たな研究手法を取り入れるとともに、欧州、北米、日本の研究者との国際共同研究を積極的に推進してきた。数値シミュレーション、地震観測、岩石摩擦実験にわたる研究成果は、異なる空間・時間スケールにわたる地震物理学研究を結び付けることに貢献している。
出典:EGU Division Outstanding Early Career Scientist Awards 2026 Kurama Okubo
受賞コメント
このたびは、栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。これまでご指導いただいた先生方、共同研究者の皆様、そして防災科研の皆様に心より感謝申し上げます。研究活動を通じて、様々な専門分野の研究者と交流する機会に恵まれ、多角的な視点から地震発生過程の研究に取り組んでまいりました。特に近年は、防災科研で実施している大型岩石摩擦実験において、断層極近傍での高精度計測と数値シミュレーション・地震観測を組み合わせ、地震断層破壊の発生・伝播メカニズムの定量的な理解を目指しています。今後も、理論・観測・実験を融合した研究を通じて、地震発生メカニズムの理解をさらに深めるとともに、防災・減災に資する基礎研究の発展に貢献してまいります。
