報道発表
海底地震観測データの緊急地震速報への活用について
令和元年6月21日
気象庁
国立研究開発法人防災科学技術研究所
気象庁では、海底地震計の観測データの緊急地震速報への活用を令和元年6月27日に開始し、海域で発生する地震に対する緊急地震速報の発表の迅速化を図ります。
気象庁では、海域で発生する地震に対する緊急地震速報の発表の迅速化を図るため、沖合に設置された海底地震計の観測データの緊急地震速報への活用を進めてきました。
海底における地震観測は、地震計の設置環境や地盤の特性が陸上とは異なるため、その観測データを適切に活用するための技術が必要となることから、気象庁と国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)は連携して開発を行ってきました。今般、この技術開発が完了し、観測データの活用の準備が整ったことから、防災科研が運用している「地震・津波観測監視システム(DONET)」(既に一部データは活用済み)及び「日本海溝海底地震津波観測網(S-net)」(日本海溝より陸側の観測点)(「地震・津波観測監視システム(DONET)」及び「日本海溝海底地震津波観測網(S-net)」 参照)の観測データを新たに活用した緊急地震速報の発表を、令和元年6月27日(木)12時より開始します。
これにより、緊急地震速報(警報)の発表が、日本海溝付近で発生する地震については最大で25秒程度、紀伊半島沖から室戸岬沖で発生する地震については最大10秒程度早まることが期待されます(DONET及びS-netの観測データの活用による緊急地震速報(警報)の迅速化 参照)。
気象庁では今後も、緊急地震速報の改善に取り組んで参ります。
- 問合せ先
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緊急地震速報について
気象庁 地震火山部 地震津波監視課 岡本(内線 4559)、森本(内線 4544)
電話 03-3212-8341 FAX 03-3215-2963
- S-net・DONET 観測網について
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国立研究開発法人防災科学技術研究所企画部広報課 電話 029-863-7784
「地震・津波観測監視システム(DONET)」及び「日本海溝海底地震津波観測網(S-net)」
DONETは、地震計・水圧計等を組み込んだマルチセンサーを備えた、リアルタイム観測可能な高密度海底ネットワークシステムであり、巨大地震の想定震源域である南海トラフ沿いに整備されている。S-netとともに、海域における地震・津波の早期検知による防災・減災や、海域の地震の発生メカニズムの解明といった学術研究等に貢献している。DONETは DONET1と DONET2から構成されており、DONET1の一部の観測点のデータについては、平成27年3月末から緊急地震速報に活用している。
S-netは日本海溝から千島海溝海域に至る東日本太平洋沖に整備された、ケーブル式の地震計・津波計から構成されるリアルタイム観測可能なインラインケーブル式システムである。技術開発(※)が完了し観測データの活用の準備が整った①~⑤の観測点について、緊急地震速報への活用を開始する。
※海底地震計は、柔らかい堆積層の上に設置されており、陸上の地震計のように固定できないことから、地震波が増幅されたり、強い揺れで地震計がわずかに傾くことで、地震による揺れが過大に観測される場合がある。このような場合にも、地震の規模や震度を過大に予測することなく緊急地震速報を発表するために、観測データの品質管理を強化することや、地震の規模(マグニチュード)の計算について新たな手法を開発した。
DONET及びS-netの観測データの活用による緊急地震速報(警報)の迅速化
各図中の値は、その地点で地震が発生した場合に、緊急地震速報(警報)の発表がどの程度早まるかを計算した理論上の最大値(秒)を示す。