報道発表
E-ディフェンス公開実験のお知らせ
-小型原子炉用の浮体式免震装置の実証試験(取材案内)-
令和6年1月19日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長:小口 正範、以下「原子力機構」という。)と国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」という。)は、世界最大級の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)において、「原子力発電プラントに適用する浮体式免震建屋の振動時安定性に関する研究」に係る実証試験をプレス公開で実施いたします。
つきましては、以下のとおり取材のご案内をいたします。
- 1.実施日時
-
令和6年2月6日(火)14:30受付開始(15時受付終了)
※工程の都合上、実施時間が変更される場合があります。 - 2.実施場所
-
国立研究開発法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
(兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21) - 3.取材日程
-
14:30 受付開始
15:20 実証試験の概要説明(計測制御棟1階ロビー)
16:00 実証試験の開始
17:00 実証試験の終了
17:30 記者会見(計測制御棟1階ロビー) - 4.取材申込先:
-
本実証試験への取材をご希望される方は、1月31日(水)15:00までに以下メールアドレスへお申し込みください。取材申込メールには、 〇所属、〇氏名(来場者全員)、〇電話番号を明記のうえ、以下メールアドレスまでお申込ください。ご登録いただいた内容は、本実証試験への取材対応に利用し、その他の目的には利用いたしません。なお、試験施設のスペースに限りがございますので、各社からの参加人数を調整させていただく場合がございます。
取材申込先メールアドレス: 兵庫耐震工学研究センター 研究推進室
e-def[AT]bosai.go.jp
*[AT]を@に変換してください。 - 5.取材上の留意事項
-
- 見学および取材にあたっては、現場の職員の指示に必ず従ってください。安全には細心の注意を払っていますが、防災科研に明らかに瑕疵があった場合を除き見学者、報道関係者のけが、機材破損などの責任は負いかねますのでご了承ください。
- 工程の都合上、実験の予定が変更される場合があります。
- 試験体内部および震動台上にはお入りいただけませんのでご了承ください。
- 実験棟内(1階フロアは除く)に報道関係者専用席を設けます。専用席でのビデオカメラは各社1台とします。
- 加振5分前からライト、フラッシュは禁止です。
- 当施設には、食堂売店がなく、コンビニエンスストアも近傍にありません。
- 見学者、報道関係者用の待機部屋はございません。
- 施設敷地内では禁煙へのご協力をお願いいたします。
- 実験棟内では、ヘルメットを必ず着用してください。
*ヘルメットは防災科研で用意します。
- 6.実証試験について
-
将来の小型原子炉(SMR)プラントに浮体式免震装置を適用した場合、SMRプラントの耐震構造簡素化と設計の標準化が可能になると考えられます。原子力機構はこれまで経済産業省の補助事業「革新的原子力技術のための共通基盤技術開発事業」の中で浮体式免震技術の開発を進め、その一環で原子力機構と防災科研は共同研究「原子力発電プラントに適用する浮体式免震建屋の振動時安定性に関する研究」にて、今般、浮体式免震建屋模擬試験体によるE-ディフェンスを用いた地震動低減効果の実証試験を実施いたします。詳細は添付資料をご参照ください。
(添付資料)小型原子炉用の浮体式免震装置の実証試験について
- 1.試験の目的
-
原子力発電プラントは、地震動を受けた場合でも安全確保に必要な施設・設備が損傷・機能停止とならないよう、耐震設計がなされています。設計に用いる地震動の大きさは、原子力発電プラントが設置される地盤や過去に発生した地震の状況などから評価されますが、2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での最も大きな揺れと同程度としている場所もあります。
大きな地震動に耐える施設の設計手法として、上記の他に施設に作用する地震動そのものを小さくする免震構造とする方法があります。原子力発電プラントに免震構造を適用した場合、プラントの安全性のさらなる向上が期待できます。
免震構造のひとつに、水の上に免震機能を有する浮体を浮かべ、その浮体の上にプラントを設置する3次元「浮体式免震構造」があります(図1)。この方式は、適用できるプラントが比較的小さいものに限られますが、浮体の免震機能をプラント設置場所固有の地震条件に合わせて比較的容易に設計でき、プラント自体の設計は地震条件によらず共通化・標準化することが可能になると考えられています。
このような利点を有する浮体式免震技術について、原子力機構はこれまで、経済産業省の補助事業「革新的原子力技術のための共通基盤技術開発事業」の中で、民間企業とともに開発を進め、米国原子力規制委員会(USNRC)による原子力規制の視点での技術レビューを受ける活動を行っています。しかしこれまで大規模の浮体式免震構造の試験データは無く、並行して開発が進められている浮体式免震構造を適用したプラントの地震時安全性解析・評価手法の検証も不十分な状態です。そのため、原子力機構と防災科研は共同研究「原子力発電プラントに適用する浮体式免震建屋の振動時安定性に関する研究」の中で、大規模な試験体を用いて浮体式免震装置の実証試験を実施することとしました。今回の実証試験では、防災科研が運用する世界最大級震動台「実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)」による約15分の1スケールで模擬した試験体の加振試験を実施し、浮体式免震構造による地震動低減効果に関する実証および地震時安全性設計用データを取得します。 - 2.試験概要
-
- (1)浮体式免震安全技術
- 図1の模式図に示すとおり、SMRプラントを設置する浮体の下部に、空気室(空気キャビティ)と空気の流通の抵抗として作用する小穴(オリフィス)が開いた隔壁が設置されています。地震時には地面からの波動が水中(プール)に伝わりますが、その水中の波動伝播を空気キャビティの空気が和らげて浮体への振動伝達を抑制し、さらにオリフィスを通過することで振動エネルギーを消費し、結果として、浮体上に載せたSMRプラントに伝わる水平・垂直方向の振動加速度が1桁程度低減することを目指しています。
この浮体式免震安全技術は、プラントの自重を浮力によって常に支え続け、かつ、ある瞬間突然発生する地震に対して、空気キャビティとオリフィスという単純な構造によってプラントの地震応答を減衰する静的かつ簡便な仕組みであり、信頼性が高い技術として期待されています。 - (2)試験装置
- 試験装置の全体図を図2に示します。今回の試験体は、浮体式免震構造体と原子炉建屋摸擬体から構成されています。試験体の寸法は、現在想定している実機プラント(浮体長さ135m、浮体奥行き45m)の約15分の1の長さ9m、奥行き3m、高さ約5mです。この試験体をE-ディフェンス震動台に設置した水槽中に浮かべ、3次元地震動を入力する加振試験を実施します。
- (3)加振計画
- 加振試験用入力波は、近年に発生した大規模地震の複数の観測波を使用します。公開試験では、2011年の東北地方太平洋沖地震で観測された地震波に基づく入力波を用います。
試験体及び水プールに複数の加速度計を設置し、浮体の地震応答挙動の把握や免震性能実証のための計測を行います。