報道発表

2025年2月上旬の帯広における記録的なドカ雪はなぜ起きた?
~黒潮起源の海の渦がもたらした海洋熱波と気象条件の複合効果を解明~

2025年7月7日
学校法人立正大学学園立正大学
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立大学法人北海道大学

発表のポイント

【参考図】2025年2月上旬の帯広におけるドカ雪の領域気象モデル※4による数値シミュレーションの結果の可視化。白~灰色の領域は雪雲の3次元分布、陰影は海面水温、矢印は地上付近の水平風を示す。可視化にはMet.3D (https://met3d.wavestoweather.de/met-3d.html)を使用した。

研究の概要

研究の背景

図1.(a)北海道南東部の気象庁の地上観測点における2025年2月3日から4日の積算積雪量(cm)。陰影は標高(m)を示す。(b)2025年2月10日の気象庁帯広測候所の地上観測システムの様子(撮影:防災科学技術研究所)。2月4日にはこの写真の2倍程度の積雪が観測された。
図2.(a)2025年2月4日0から3時の期間で平均した10m高度の水平風(矢印)、その大きさ(風速; 陰影)およびジオポテンシャル高度(等値線)の水平分布図。(b)2024年2月4日における海面における水温(等値線)、その平年値からのずれ(陰影)および海流(矢印)の水平分布図。強い海洋熱波が発生していた海域を斜線で示す。(c)図2bの緑枠内で領域平均した2月上旬の海面水温の1982~2025年の時系列図。黒線は平年値(1991~2020年の平均)を示す。
図3. 2024年5月から2025年2月の期間における海面高度(陰影)と海流(矢印)の水平分布図。

研究の内容と成果

図4.(a)2025年2月4日0から3時の期間で平均した985hPaにおける相当温位の水平勾配の大きさ(陰影)と水平風(矢印)の水平分布図。数値が大きなところに前線が存在することを意味する。(b)2025年2月4日0時に十勝平野沿岸域に存在した空気の流入経路の可視化。線が空気の流入経路、線の色が空気の相当温位を示す。線の色が寒色系から暖色系に変化する(つまり、相当温位が増加する)ことは、空気が温暖・湿潤化したことを意味する。黄色の陰影は2025年2月4日の海面水温の平年値からのずれ、矢印は2025年2月3日12時~2月4日0時の期間で平均した985hPaにおける水平風を示す。
図5. 数値シミュレーションによって見積もられた海洋熱波が降水量へ与えた影響(陰影)。正の値が大きいほど、海洋熱波が降水量を増加させたことを意味する。黄色の等値線は再現シミュレーションと海洋熱波の影響を除去したシミュレーションとの間の海面水温の差(単位は℃)、赤色の等値線は標高800 mのラインを示す。

今後の展開と展望

立正大学・平田英隆准教授のコメント

用語解説

謝辞

参考文献

論文情報

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