報道発表
緊急地震速報に活用する海底地震観測点の追加について
~「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)沖合システム」の活用開始~
2025年10月8日
気象庁
国立研究開発法人防災科学技術研究所
気象庁では、令和7年10月15日から、国立研究開発法人防災科学技術研究所が高知県沖から日向灘に整備した「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)沖合システム」の地震観測データの活用を開始し、緊急地震速報の発表の迅速化や精度向上を図ります。
これにより、四国沖から日向灘にかけて発生する地震について発表する緊急地震速報(警報)が、最大で20秒程度早まることが期待されます。
国立研究開発法人防災科学技術研究所は、南海トラフ地震発生時の被害軽減や防災科学技術の発展に貢献することを目指し、南海トラフ地震の想定震源域のうち、それまで観測網が設置されていなかった西側(高知県沖から日向灘)の海底に、地震計と水圧計を備えた「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net※)」を整備しました。N-netは令和6年に整備が完了した「沖合システム」と令和7年6月に整備が完了した「沿岸システム」から構成されます。
※N-net:Nankai Trough Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis
気象庁では、海域で発生する地震に対する緊急地震速報の発表の迅速化を図るため、関係機関の協力も得て、沖合に設置された海底地震計の観測データの緊急地震速報への活用を進めています。今般、「N-net沖合システム(18地点)」の地震計についてデータの品質確認等を行い、緊急地震速報へ活用する準備が整ったため、令和7年10月15日(水)12時から緊急地震速報への活用を開始します。
これにより、四国沖から日向灘にかけて発生する地震について発表する緊急地震速報(警報)が、最大で20秒程度早まることが期待されます(図)。
なお、「N-net沖合システム」の津波観測データについては、令和6年11月21日より津波情報等へ活用されています。
気象庁では今後も、緊急地震速報の改善に取り組んで参ります。
「N-net沖合システム」の観測データの活用による 緊急地震速報(警報)の迅速化

図中の値は、その地点で地震が発生した場合に、緊急地震速報(警報)の発表が、「N-net沖合システム」の観測データの活用を開始する前と比較してどの程度早まるかを計算した理論上の最大値(秒)を示す。