お知らせ
令和6年能登半島地震を対象とした「自治体の災害対応および応援受援活動の全国調査」データ提供の開始について
2025年8月19日
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」という。)は、「令和6年能登半島地震・自治体の災害対応および応援受援活動の全国調査」(以下、本調査)として、令和6年能登半島地震における被災市区町村の応急対応・自治体間の応援受援活動を中心に、全国規模での新たな取り組みとして調査を行いました。本調査の結果として、提供する情報(以下、調査データ)を、このたび行政関係者に対して、申請にもとづき提供いたします。
1.ポイント
- 防災科研では、今後の大規模災害に向けた課題を明らかにし、災害対応に関わる体系的なデータを蓄積するため、令和6年能登半島地震を対象とした全国的な調査を実施しました。
- 本調査では、令和6年能登半島地震での被災市区町村における応急対応および自治体間の応援受援活動を中心にアンケート調査とヒアリング調査を行いました。
- これまで自治体の災害対応に関する全国共通かつ継続的な調査は行われておらず、全国規模での新たな取り組みとなります。
- 調査データは、ご回答いただいた個人や団体が特定されないよう整理をしたうえで、防災科研が保存、管理し、行政関係者に対して、申請にもとづき貸与します。
- 調査結果ポータルサイトURL:
https://nied-weblabo.bosai.go.jp/NSDRL/results/survey2025.html
「令和6年能登半島地震 自治体の災害対応および 応援受援活動の全国調査」データ提供の開始
- 1.背景
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市区町村をはじめとする地方公共団体は、災害対応を一義的に担う存在です。しかし、大規模災害が発生すると被災地域の行政事務は膨大となり、行政機能は著しく損なわれます。そのため、庁内での人員調整だけでは対応できず、他の組織から人的応援を受ける必要が生じます。これまでも、平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震、令和元年の東日本台風などの大規模災害では広域的に地方公共団体間で職員の応援活動が行われました。これらの制度や運用に関する議論も活発になされています。一方で、被災自治体における災害対応や応援受援の実態は、個別の組織が作成した報告書や、業務・分野ごとの活動記録にとどまることが多く、その全体像は明らかになっていません。学術研究においても、特定の地域や災害に焦点を当てた個別の研究実績は存在するものの、過去の災害対応との比較や改善点、顕在化した課題を包括的に検証できる体系的なデータは不足しています。
そうした中で発生した令和6年能登半島地震は、少子高齢化や経済振興といった地域課題を抱える半島地域を襲った大規模災害です。南海トラフ地震においても、同様の地勢的・社会的条件を持つ地域の被災が予測されていることから、本災害から得られる課題や知見を明らかにし、体系化することは喫緊の課題であると考えています。
以上を踏まえ、防災科学技術研究所社会防災研究領域災害過程研究部門(以下、防災科研)は、自治体における災害応急対策の継続的な改善に資する研究調査事業の一環として、令和6年能登半島地震を対象とした自治体の災害対応および応援受援活動に関する全国調査(以下、本調査)を実施しました。 - 2.調査概要
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本調査では、令和6年能登半島地震における被災市区町村の応急対応および自治体間の応援・受援活動を中心に、アンケート調査とヒアリング調査を実施しました(図1)。基礎的事項に加え、災害対応におけるマネジメントにも焦点を当てています。本調査は、「国立研究開発法人防災科学技術研究所研究データポリシー」(平成31年3月6日制定)に基づき、国立研究開発法人防災科学技術研究所の倫理審査委員会の承認を受けて実施しました。
図1 調査概要 - 3.調査対象
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- (1)アンケート調査
- 調査期間:2024年9月27日から2025年3月10日
調査対象:
- ・全国の地方公共団体(自治体向け)
- ・地方公共団体から令和6年能登半島地震で派遣された応援派遣職員(職員向け)
回収率:自治体向けアンケート調査(団体調査)
表1 団体調査回収率・応援職員向けアンケート(職員調査)
上記、「自治体向けアンケート」で回答のあった地方公共団体のうち、調査協力の同意を得られた地方公共団体から、令和6年能登半島地震において被災地で応援活動を行った地方公共団体職員を対象としてオンラインでのアンケート調査を実施しました。詳細の対象数は以下のとおりです。表2 職員調査回収数- (2)ヒアリング調査
- 調査期間:2024年9月から2025年5月
調査対象数:
- ・応援団体:12団体
- 受援団体:6団体
・訪問面接調査、および、オンライン面接調査
・各調査おおむね1~2時間程度
その他調査項目等の詳細については、ポータルサイトに掲載している「調査結果データベース説明書(アンケート)」および「調査結果データベース説明書(ヒアリング)」をご参照ください。
- 4.提供データについて
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提供の対象となる調査データは、以下の5件です(図2)。
- 令和6年能登半島地震災害における自治体応援活動に関する基礎調査
調査結果報告書 - アンケート調査(団体調査)データセット
- アンケート調査(職員調査)データセット
- 応援団体によるマネジメント支援等のヒアリング調査結果
- 被災団体における受援調整等のヒアリング調査結果
※2から5は申請に基づき貸与します。
図2 提供データについて調査データは、ご回答いただいた個人や団体が特定されないよう、適切に整理しています。データの仕様等の詳細については、ポータルサイトに掲載している「調査結果データベース説明書(アンケート)」および「調査結果データベース説明書(ヒアリング)」をご参照ください。
- 令和6年能登半島地震災害における自治体応援活動に関する基礎調査
- 5.データの利用目的について
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調査データは、応援活動の際の参考にする、各種防災に関わる計画策定の参考にする、その他研修等へ活用する、などわが国の災害対応の改善に資することを目的とした場合に限り、利用することができます。利用にあたっての注意事項等は、ポータルサイトに掲載している「調査データ利用申請説明書」をご参照ください。
- 6.データの申請・利用方法について
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調査データの貸与を希望する場合は、調査データ利用申請書に必要事項を記入し、事務局(nsdrl[AT]bosai.go.jp ※[AT]は@に変換)までメールに添付して申請してください。申請内容を確認・承認した後に事務局からメールにて調査データを貸与します。詳細についてはポータルサイトに掲載している「調査データ利用申請説明書」をご参照ください。
- 7.データの利用報告について
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今後の調査事業の参考とするため、調査データの利用結果については、調査データ利用報告書に必要事項をご記入のうえ、事務局(nsdrl[AT]bosai.go.jp ※[AT]は@に変換)宛にメール添付にてご報告ください。利用結果には、応援活動の参考となった事項、策定した各種計画、実施した研修の概要など、利用目的内の活動に関する内容をご記載ください。また、調査データを用いて作成した成果物がある場合は、併せてご提出ください。
- 8.調査結果ポータルサイト
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※災害過程研究部門のホームページにもリンクを掲載しています。
- 9.問い合わせ先
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「令和6年能登半島地震・自治体の災害対応および応援受援活動の全国調査」
事務局(防災科学技術研究所 社会防災研究領域 災害過程研究部門)
連絡先:nsdrl[AT]bosai.go.jp
※[AT]は@に変換してください