報道発表
日本全国の地震リスクの閲覧システム (J-SHIS Map R)の公開
令和2年1月28日
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
プレス発表資料
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 林春男) は、日本全国の地震リスクをWeb上で閲覧できるシステム「J-SHIS Map R(ジェイシス マップ アール)」を開発し、令和2年1月28日より公開します。
防災科学技術研究所では、地震の揺れによる建物被害、人的被害に関する地震リスクの評価手法について研究開発を行っています。「J-SHIS Map R」は、この評価手法により求められた地震リスクをWeb上で閲覧するためのシステムです。 今回公開する「J-SHIS Map R」で閲覧できる地震リスク情報は、防災科学技術 研究所が「全国地震動予測地図」(地震調査研究推進本部、2014年)の地震ハザード情報を活用し、将来日本で発生する恐れのある地震の揺れによる建物被害・人的被害を試算した情報です。
なお、今回公開する地震リスク情報は、最新版の「全国地震動予測地図」を踏まえたものではありません。また、今後の検討によって内容や試算結果等が変更される可能性があることに留意する必要があります。
- 内容:以下の記述を参照。
- 本件配布先:文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会
1. J-SHIS Map Rについて
防災科学技術研究所では、日本全国の地震リスク(将来日本で発生する恐れのある地震の揺れによる建物被害、人的被害)を定量化する検討を行っており、検討結果の一部は「全国を対象とした地震リスク評価手法の検討(防災科学技術研究所研究資料 第 415 号)」として平成 30 年 3 月に公開しました。今回、地震リスク評価結果の閲覧システムを開発し、「J-SHIS Map R」として公開することとしました。
「J-SHIS Map R」は、全国概観版地震リスク評価(※)により定量化された多種多様な地震リスクに関する地図を Web上で閲覧することを目的に開発したものです。防災科学技術研究所では「J-SHIS Map R」の公開に向けて、学識者・民間の有識者から構成される「J-SHIS 高度化に関する検討会(委員長:能島暢呂 岐阜大学教授)」を平成30 年度に開催し、全国概観版地震リスク評価及び評価結果の公開に関する意見を収集しました。今回、検討会でいただいた意見を踏まえ、「J-SHIS Map R」を公開することになりました(図1)。
なお、「J-SHIS Map R」で閲覧可能な地震リスク情報は、防災科学技術研究所が地震リスク評価手法の検討の一環として試算したものであり、公的機関によりオーソライズされたものではありません。また、「全国地震動予測地図」(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2014)による地震ハザード情報(将来日本で発生する恐れのある地震による揺れの情報)を活用した試算結果であり、最新の地震ハザード評価を踏まえたものではなく、さらに、今後の検討によって内容や試算結果等が変更される可能性があることに留意する必要があります。

※全国概観版地震リスク評価について
全国概観版地震リスク評価とは、国の地震調査研究推進本部により作成された「全国地震動予測地図」等の地震ハザード情報を活用し、防災科学技術研究所が、将来日本で発生する恐れのある地震の揺れによる建物被害、人的被害を評価したものです。日本全体の地震リスクを把握することを主眼としていることから「全国概観版地震リスク評価」と呼んでいます。
全国概観版地震リスク評価では、全国地震動予測地図を構成する「確率論的地震動予測地図」と「震源断層を特定した地震動予測地図」の2種類の地図に対応するリスク評価を行っています。防災科学技術研究所では、全国概観版地震リスク評価を実施するための建物被害や人的被害に関する評価手法の検討を行うとともに、評価に利用する人口や建物データを構築しました。さらに、過去~現在~将来の日本の地震リスクの変遷を検討するために、1890年から2040年までの期間に6つの評価基準年を設定し、各基準年における人口や建物データを作成しました。上記の研究資料には、こうして構築されたリスク評価手法に「全国地震動予測地図」の地震ハザード情報を活用した試算結果が掲載されており、その一部は「J-SHIS Map R」で閲覧することが可能となっています。
2. J-SHIS Map R の使い方
J-SHIS Map R では様々な地震リスク情報を閲覧することができます。ここでは、2つの例を紹介します。
1例目として、全国地震動予測地図の「確率論的地震動予測地図」を活用した「確率論的地震リスク」を閲覧することができます(図2)。ある地点で、ある期間(ここでは、今後30年または50年)内に想定される被害の大きさを超える確率を「超過確率」といいます。「確率論的地震リスク」は、被害の大きさとその超過確率のうち、一方の値を固定して、もう一方の値を示した地図です。
例えば、30年超過確率3%の建物全壊率を示した図では、「各地点で、その建物全壊率以上の被害に見舞われる確率は、今後30年間で3%です」という意味になります。
「確率論的地震リスク」を調べたい場所の地図を拡大し、地図上をダブルクリックすると、250mメッシュ単位で地点情報を表示することができます。また、地名等で検索し、その周辺の地図を拡大表示することもできます。表示する地震リスクの種類は、左サイドバーのコンボボックスから選択することができます。また、「確率論的地震リスク」では、市区町村単位での地震リスクを閲覧することもできます(図3)。
2例目として、全国地震動予測地図の「震源断層を特定した地震動予測地図」を活用した「想定地震別地震リスク」を閲覧することができます(図4)。「想定地震別地震リスク」は、ある想定地震が発生した場合に生じる建物被害、人的被害に関するリスクを示した地図です。人的被害は、地震発生時刻によって建物内に滞留する人口が異なるため、「朝5時」「昼12時」「夕方18時」の3つの時刻の被害状況を示しています。
地図上で主要活断層帯の震源断層を選択することで、その震源断層で想定している地震が発生した場合の地震リスクの分布と詳細情報が表示されます。表示する地震リスクの種類は左サイドバーのコンボボックスで選択することができます。


