報道発表
那須岳における登山者動向把握実験(那須岳チャレンジ)~火山防災に向けた取組~
令和2年9月25日
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:林春男)は、将来起こりうる噴火により登山者が受ける被害を推定することを目的に、令和2年10月3日(土)、4日(日)に、栃木県那須岳において登山者動向把握実験(那須岳チャレンジ)を実施します。
- 内容(詳細は別紙資料参照)
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那須岳の登山者に小型のビーコン(信号を半径20~30メートルの範囲に発信する機器)を配布し、事前に登山道に設置したレシーバーで検知することで、登山者の動向(おおよその数と位置)を把握する実験。
※本実験は、文部科学省次世代火山研究推進事業の一環として実施します。 - 日時(ビーコン配布・回収時間)
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令和2年10月3日(土) 6時~17時頃
令和2年10月4日(日) 6時~17時頃 - 場所
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ビーコン配布・回収場所:
・那須ロープウェイ山麓駅、峠の茶屋駐車場
レシーバー設置:
・峠の茶屋~峰の茶屋~朝日岳山頂ルート
・峠の茶屋~峰の茶屋~茶臼岳山頂ルート
・那須ロープウェイ山麓駅~山頂駅~茶臼岳山頂ルート - 後援
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那須町、那須岳火山防災協議会
(別紙)那須岳における登山者動向把握実験(那須岳チャレンジ)
- 実験概要
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国立研究開発法人防災科学技術研究所は、令和2年10月3日(土)、4日(日)の二日間に渡り、栃木県の那須岳において登山者動向把握実験(那須岳チャレンジ)を実施します(悪天候の場合は10月17日(土)、18日(日)に延期)。
本実験は、那須岳における登山者の動態データを取得し、登山者の動向(ある時間における登山者のおおよその数と位置)を把握することを目的としています。那須岳の登山者に小型(5cm四方程度)のビーコン(写真1)を配布し、事前に登山道(図1)に設置されたレシーバー(写真2)でビーコンを持った登山者を検知し、その結果を可視化することで登山者の動向を把握します。国内では同様の実験が、平成27年から富士山で、令和元年には御嶽山でも実施されています。写真1. 登山者に配布するビーコン写真2. 登山道他に設置するレシーバー(スマートフォン、バッテリー、ケース)図1. レシーバー設置予定位置図 - 取得データの活用
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本実験で得られる登山者動態データから、将来、那須岳が噴火した際の登山者の被害を推定し、本実験の結果を那須岳火山防災協議会と共有することで、避難計画の策定(避難施設、避難指示看板の設置場所や避難経路を決定)などに役立てることを目指します。
なお、今回の登山者動向把握そのものが、今後、社会実装されると以下のような活用が見込まれます。- 平時の登山者動態データの活用
- 得られるデータをインターネット等で閲覧可能な地図上で可視化することで、
・登山道の混雑状況を把握することができます。
・登山者の遭難時に位置を特定することができます。
・登山者の行動パターン(登山時の移動速度、通ったルート、休憩ポイント、ロープウェイ利用の有無など)が分かります。 - 緊急時(噴火発生時)における登山者動態データの活用
- 本実験で得られるデータは準リアルタイムで集計され、インターネットの地図上で可視化されます。
噴火発生時に本システムが稼働していた場合、情報を自治体防災担当者らと共有することで、登山者の動向把握にかかる時間が大幅に短縮されることが見込まれます。