報道発表
E-ディフェンス公開実験のお知らせ
-体育館の地震応答制御実験-
2023年07月24日
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立大学法人東京工業大学
学校法人明治大学
学校法人工学院大学
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 寶 馨) は、国立大学法人東京工業大学(学長:益 一哉)、学校法人明治大学(学長:大六野 耕作)、学校法人工学院大学(理事長:後藤 治)と共同研究として、大空間建物の地震時の揺れと損傷、被害発生メカニズム解明およびエネルギー吸収部材、装置の地震被害低減効果の定量的評価を目指して、2023年8月3日(木)に体育館を模した縮小模型を対象とした加震実験を兵庫耐震工学研究センターのE-ディフェンスにおいて公開で実施します。
- 1.日時
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2023年8月3日(木)
12:30 報道機関受付開始 (13:00 報道機関受付締切)
13:00 一般受付開始 (13:30 一般受付締切)
14:00 公開実験開始 (14:20 公開実験終了)
17:00 記者会見
※記者会見は報道機関の方のみ参加可能です。
※工程の都合上、実施時間が変更される場合があります。 - 2.場所
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国立研究開発法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
〒673-0515 兵庫県三木市志染町三津田字西亀屋1501-21 - 3.対象
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報道機関、研究機関、建設関係者、防災関係者、一般の方など
報道機関の方:別途配布する「プレス取材申込用紙」にて、FAXでお申し込みください。
事前のご質問に関しては、「プレス取材申込用紙」に添えてご提出ください。
報道機関以外の方:
https://www.bosai.go.jp/hyogo/news/experiment/experiment.html(要事前登録 定員50名 先着順) - 4.内容
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別紙資料による。
(別紙資料)体育館の地震応答制御実験
- 1.研究の目的
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内部に大きな空間を有する体育館などは、内部で多くの人々が滞在、活動するとともに災害時には避難所や資材の集積所として利用されるため、通常の建物に比べて高い耐震性能が期待されます。一方、過去の大地震では屋根と下部構造の接合部の損傷や天井などの落下によって内部の安全性や避難所としての機能が損なわれる事例が繰り返し報告されています。このような建物は、地震時に屋根が縦方向に大きく振動するなど、通常の建物とは異なる揺れ方をすることが知られていますが、大きな地震が作用した時にどのように損傷、被害、崩壊に至るかは未解明な点が多いのが現状です。また、被害を低減するため、地震のエネルギーを吸収する部材、装置も提案されていますが、実大に近いスケールの動的実験で効果を確認した研究はありません。今回の実験では、体育館等の内部に大きな空間を持つ建物が地震により損傷するメカニズムを調査、分析するとともに、エネルギー吸収部材の効果を確認するため、防災科学技術研究所の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を用いて、体育館を対象とした震動台実験を行います。
- 2.実験概要
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- (1)試験体
- 試験体の全体図を図1に示します。寸法は、間口6m、奥行き8m、高さ約3.2mです。小さな体育館でも、E-ディフェンスの震動台よりも大きいため、今回の実験ではおおよそ1/4の縮小模型を用います。縮小模型のふるまいが元の体育館と相似になるように、試験体の重量や入力する地震波が、表1の割合になるように調整します。これを、相似則と呼びます。
図1 試験体の概要図表1 相似則図2 屋根と下部構造の接合部(左上:平面図、左下:立面図、右:構成図)図3 左:摩擦ダンパー付きブレース全体図、右:摩擦ダンパー詳細図縮小試験体に地震が作用したときの揺れ方が一般的な大空間建物と同等になるように、各部材の太さを設計し、重量を調整しています。
アーチ屋根の両端は骨組み(下部構造)で支持されています。下部構造は屋根の重量を支えますが、水平方向にはお互い自由に動きます(ローラー支持)。屋根と下部構造が独立して振動することが、過去の地震被害の原因の一つと考えられています。試験体では、屋根と下部構造の接合部ディティールを再現して(図2)、地震が作用したときの揺れ方を調査します。- (2)地震による揺れを抑える技術
- この実験では、地震のエネルギーを吸収して揺れを抑える技術として、摩擦ダンパーと同調マスダンパー(TMD)の効果の確認を行います。
図4 TMD装置図1に示すブレースは、端部に摩擦ダンパーを有しています(図3)。摩擦材を押さえつける力をボルトの締め付けで調整して、所定の力が加わると滑りが生じてエネルギーを吸収します。TMDは試験体の揺れの周期と同じ周期で揺れるおもりとばねにエネルギーを吸収するダンパーを組み合わせた装置です(図4)。試験体が揺れるとTMDのばねとおもりの揺れが励起され、付加したダンパーによりエネルギーを吸収します。実験では、屋根の2カ所にTMDを設置して(図1)、効果を確認します。
- (3)加振計画
- 加振日1日目:
試験体の基本的な揺れ方を調査します。屋根と下部構造の接続条件をローラー支持とした場合と、固定条件とした場合で、地震によって生じる揺れを観測し、屋根の振動と下部構造の振動がどのように影響を与え合うのかを調査します。
加振日2日目:
摩擦ダンパーとTMDの効果を確認する実験を行います。摩擦ダンパーとTMDを機能させた場合の地震による揺れを計測し、これらの装置が機能しない場合の結果(1日目の結果)と比較することで、揺れを抑える効果を確認します。
加振日3日目(公開実験):
体育館架構試験体が地震により損傷し、屋根の沈下に至るまでの過程を調査します。試験体に入力する地震動を少しずつ大きくして、試験体に少しずつ損傷を与え、地震動が大きくなるにしたがって、試験体のどの個所がどのような順番で損傷するかを計測します。屋根の損傷が先行、卓越することが予想され、屋根に一定レベルの残留たわみが生じるまで加振を行います。なお、摩擦ダンパーとTMDは働かない条件とします。
- 3.実験スケジュールと留意事項
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- (1)公開実験スケジュール
- 【報道機関の方】
12:30 受付開始
13:00 受付締切
13:10 事前説明(計測制御棟1階ロビー)
14:00 公開実験開始(準備状況によりやむを得ず変更する場合があります。)
14:20 公開実験終了(予定のため遅れる場合があります。)
17:00 記者会見(計測制御棟1階ロビー)
【一般の方】
13:00 受付開始
13:30 受付締切
14:00 公開実験開始(準備状況によりやむを得ず変更する場合があります。)
14:20 公開実験終了(予定のため遅れる場合があります。)
- (2)取材上の留意事項
- 見学および取材にあたっては、現場の職員の指示に必ず従ってください。安全には細心の注意を払っていますが、防災科学技術研究所に明らかに瑕疵があった場合を除き見学者、報道関係者のけが、機材破損などの責任は負いかねますのでご了承ください。
- 工程の都合上、実験の予定が変更される場合があります。
- 試験体内部および震動台上にはお入りいただけませんのでご了承ください。
- 実験棟内(1階フロアは除く)に報道関係者専用席を設けます。専用席でのビデオカメラは各社1台とします。
- 加振5分前からライト、フラッシュは禁止です。
- 当施設には、食堂売店がなく、コンビニエンスストアも近傍にありません。
- 見学者、報道関係者用の待機部屋はございません。
- 施設敷地内では禁煙へのご協力をお願いいたします。
- 実験棟内では、ヘルメットを必ず着用してください。
※ヘルメットは防災科学技術研究所で用意します。