報道発表
E-ディフェンス公開実験
室内空間・機能に着目した地震災害の軽減と被害判定
— 室内の対策と即時の被害把握が、命と活動を守る —
2026年02月12日
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 寶 馨) は、室内の非構造部材、屋内設備、家具、什器等を対象として、地震時における設備・機器等の被害が施設の機能維持や人的被害に与える影響を調査し、AI 技術等を活用した地震後の被害度を即座に評価する技術の開発に取り組んでいます。その一環として、被害状況の即時評価(センシングおよびデジタル空間の活用)や、被害対策手法の検証を目的に、住居およびオフィス空間を可能な限り忠実に再現した振動実験を実施しており、本実験を公開いたします。
- 1.日時
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2026年3月17日(火)11時30分受付開始(12時受付終了)
<当日のスケジュール(予定)>
・13時00分 加振開始
・17時00分 加振終了
※当日の実験工程の進行状況等により、加振を中止、または予定を変更する場合があります。 - 2.場所
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国立研究開発法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター
〒673-0515 兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21 - 3.対象
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報道機関、実験関係者、一般の方など
- 報道機関の方
別添「プレス取材申込用紙」にてメールでお申し込みください。 - 報道機関以外の方:
詳細およびお申込み方法は、下記E-ディフェンス公式ホームページにてご確認ください。
https://e-defense.bosai.go.jp
- 報道機関の方
- 4.留意事項
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- 安全管理上の理由により、主催者の判断で実験の全部または一部を中止する場合があります。
- 記者会見は、当日の加振がすべて終了した後に実施予定です。
(現時点では開始時間は未定です。) - 事前のご質問は、下記問い合わせ先までメールにてお送りください。
- 当日の詳細なスケジュールにつきましては、お申し込み後にご連絡いたします。
(別紙資料)室内空間・機能に着目した地震災害の軽減と被害判定 — 室内の対策と即時の被害把握が、命と活動を守る —
- 1.はじめに
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過去の地震災害を振り返ると、建物の倒壊や橋脚の破壊などが大きく取り上げられていますが、人的被害に着目した場合では、室内における非構造部材、家具、什器による被害がその半数以上を占めていることがこれまでの調査結果より明らかになっています(図1)。そこで、構造物の耐震性についてだけでなく、室内空間の安全性および施設の機能維持性能に対しても検証が必要であり、また、室内被害を軽減化する対策の検討、普及が急務です。
国立研究開発法人防災科学技術研究所では、「実大三次元震動破壊実験施設等研究基盤を活用した都市のレジリエンス高度化研究開発」の課題の1つである、サブプロジェクトA-2「室内〜都市機能災害マルチモニタリング技術の研究開発」を推進しており、地震時に建物の室内空間・機能に着目し、地震後においても社会活動を継続または迅速に回復させるため、速やかな被害状況評価を行い、建物などの継続使用の可否を判断する手法の検討と、これらの地震被害を軽減化させ社会活動を継続させるための対策技術に関する研究開発を行っています。
今回、検証用実験ユニット(繰り返し利用できる鉄骨造のフレーム)の内部に、事前調査から過去の地震災害時に機能損失により大きく影響を受けた建物用途・施設の室内空間を再現し、世界最大級の震動台である「実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)」を用いた実大震動台実験で、非構造部材、屋内設備、家具、什器等が施設の機能維持に与える被害や人的な被害のデータを取得し調査解析し、AI技術を活用した状況に応じた被害度を即座に評価する技術を開発しています。
本実験の成果により、室内の被害を定量的に評価することが可能となり、さらに構造物に関する他研究の成果と本研究の成果を融合することで、地震時の被災状況を総合的に把握でき、早期復旧につなげることが可能となります。
図1 平成28年 熊本地震での負傷原因別負傷・死亡者数 - 2.実験概要
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- (1) 室内空間における損傷被害検証手法のためのE-ディフェンス震動台実験計画
- 今回の実験に用いる検証用実験ユニットは、柱スパンで8×5m、基準高さは3.85m、質量は1体あたり約57ton(床スラブを含む)となっており、繰り返しの使用を可能とするため、主要構造部材を無損傷に留める強固な設計で製作されています。内部は検証目的に応じて、設置する非構造部材、屋内設備、家具、什器等を組み替え、室内環境を変化させることができ、これにより効率的に室内空間に同一条件での振動台実験が可能となります。また、検証用実験ユニットは、それぞれに結合可能で、より広い室内空間を再現させることができます。本実験では検証用実験ユニットを平面方向に3体設置し加振実験を行う予定です(図2、3)。
実験予定は、2026年2月と3月に2シリーズに分けて行う予定で、2月(実験日2/6、10、13)の1シリーズでは、医療施設を中心に再現する計画としています(図4)。
図2 検証用実験ユニット(左) 図3 検証用実験ユニット設置状況(右)
図4 1シリーズの配置計画(医療施設を再現)次に、3月の2シリーズ(実験日3/13、17、19)では、オフィス空間、住居空間を再現する計画としています(図5)。
室内空間の再現は、産業界や防災関連機関(家具什器・非構造部材メーカー、公的機関等、約40機関)で構成されている、「室内空間を中心とした機能維持のための研究会(注1)」と実験協力機関(注2)と連携し、実施しています。
図5 2シリーズの配置計画(オフィス、住居を再現)- (2)振動実験で用いる入力波形
- 2025年9月に南海トラフ地震の発生確率を「60%~90%程度以上」と見直され、南海トラフ地震による被害は甚大になることが懸念されています。また、阪神・淡路大震災から30年以上が経過しましたが、都市部で起きた地震被害としてはいまだに記憶に新しいことと思います。そこで今回の実験では、過去の地震において多くの被害を与えた地震動を用いつつ、今後発生が懸念される地震に関しての予測地震動を用いた検証を行う予定です。
さらに、地表面で観測された地震動を入力するだけでなく高層建物をモデル化し、数値解析により算出した高層階の床応答加速度を震動台で再現することで、高層マンションやオフィスビルの室内被害についても検討を行う予定です。一般的には地面の揺れに対して、上層階ほど揺れが増幅される傾向があるため、室内空間への影響がより大きくなると考えられます。 - (3)地震時における室内空間の効果的な機能維持の実現
- 本研究では、振動実験により各種データ等を取得し、主に以下に研究項目を実施します。(図6、7)
- 画像・音響データ等を用いた環境把握、被害判定法の検討、被害度の指標の検討
- 復旧リソースの算出方法の検討
- 地震被害対策技術等の検討
- 被害予測・地震対策法の提示に関する検討
図6 本研究がめざす災害前後の取り組みこのうち、画像・音響データ等を用いた環境把握、被害判定法の検討、被害度の指標の検討においては、人が被害状況を判断するのと同様に、画像データよりAI技術などを活用し、瞬時に被害度を判定し、その後の活動に役立てることを目指しています。
また地震対策の有効性や将来的な被害予測などにも実験で得られた知見を活用することを検討しています。
図7 画像解析を用いた被害判定システム注1 室内空間を中心とした機能維持のための研究会参加メンバー
https://indoorpj.e-defense.bosai.go.jp/
IMV株式会社、I-レジリエンス株式会社、NPO法人安心安全のまちづくり機構、株式会社イトーキ、FKK株式会社、株式会社オカムラ、株式会社オクジュー、北川工業株式会社、株式会社桐井製作所、一般財団法人建材試験センター、株式会社構造計画研究所、 株式会社コロナ、三洋工業株式会社、公益財団法人市民防災研究所、ジャパン建材株式会社、センクシア株式会社、操学舘ドローンスクール、株式会社竹中工務店、ダンドリビス株式会社、TOA株式会社、日本ミクニヤ株式会社、藤澤建機株式会社、不二ラテックス株式会社、フリーアクセスフロア工業会、プロセブン株式会社、平安伸銅工業株式会社、株式会社ホタルクス、三菱電機株式会社、株式会社山小電機製作所、一般社団法人日本オフィス家具協会、一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会、一般社団法人武蔵小杉エリアマネジメント、神戸市 危機対策課、芝浦工業大学、千葉大学、帝京大学、明治大学、横浜市立大学、東京消防庁 防災部震災対策課、東京消防庁 安全推進部安全技術課、国立保健医療科学院、独立行政法人国立文化財機構文化財防災センター、一般社団法人防災機器検査協会(順不同)
注2 実験協力機関:大垣市民病院、杏林大学医学部付属杉並病院、熊本市民病院、アトムメディカル(株)、ミズホ株式会社、広野高原病院 - 3.実験スケジュールと留意事項
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- (1)公開実験スケジュール
- 2026年3月17日(火)
11:30 受付開始
12:00 受付締切
13:00 公開実験開始(準備状況によりやむを得ず変更する場合があります。)
17:00 公開実験終了(予定のため遅れる場合があります。)
※公開実験終了後、準備が整い次第、記者会見 (計測制御棟1階ロビー)を実施予定(開始時刻は未定) - (2)取材、見学上の留意事項
- 取材および見学にあたっては、移動を含め、必ず現場職員の誘導および指示に従ってください。
- 安全には細心の注意を払っていますが、防災科研に明らかな瑕疵があった場合を除き、報道関係者の怪我、機材破損などの責任は負いかねますので、ご了承ください。
- 実験工程の都合上、実験の予定は変更される場合があります。
- 立入制限区域および撮影禁止区域では、立入りや撮影はできません。詳細については、当日の現場職員の指示に従ってください。
- 実験棟内(1階フロアを除く)には、報道関係者専用席を設けます。専用席で使用できるビデオカメラ等の機材は、各社1台までとします。
- 加振開始5分前から、照明、ライト、フラッシュなどの使用は禁止です。
- 当施設には、食堂・売店はなく、近隣にコンビニエンスストアなどもございません。
- 報道関係者用の待機室はございません。
- 施設敷地内では禁煙へのご協力をお願いいたします。
- 実験棟内および敷地内では、必ずヘルメットを着用してください。
※ヘルメットは防災科研にて用意します。
