火山研究推進センター
日本の火山を診療する“総合病院”として

多くの犠牲者を出し、戦後最悪の火山災害となった2014年の御嶽山噴火。
これを契機に設置された当センターは、火山防災研究のハブ機関を担うべく、火山の“ 総合病院”とも言える取り組みを行っています。
火山観測データを一元化するためのプラットフォームを構築するとともに、観測・予測・対策技術の研究開発を関係機関と密に連携して進めています。
併せて、専門家が少ない火山分野において、次世代を担う研究人材の育成にも貢献しています。
火山の診療(総合病院に例えると)

防災科研の主な4つの取り組み
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(A)観測データ 一元化のプラットフォーム
従来、個々の研究者や機関が保有していたデータを一元化し、有効に活用するための火山防災研究ハブ機関として、全国の火山研究の推進ととりまとめを行います。
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(B)さまざまな観測
正確なデータを迅速に活用できるよう、観測技術の開発・向上に努めます。たとえば衛星を用いたリモートセンシングによる面的な地殻変動観測は噴火予測になくてはならない武器です。
衛星リモートセンシングで捉えられた2017年霧島山新燃岳噴火の前兆的地殻変動 -
(C)分析やシミュレーション
富士山噴火による首都圏への降灰被害がどれほどのものになるかの評価ができるように、噴火ハザードシミュレーションの高度化を進めています。
富士山噴火による降灰のシミュレーション -
(D)噴火のリスク評価の情報発信
噴火の被害を食い止めるためには、利用者のニーズを反映した形で正確な情報をしっかりとアウトプットすることが重要です。自治体へのヒアリングに基づき、情報ツールの研究・開発を実施しています。
データのとりまとめと次世代の育成を両軸に
火山研究の推進をはかる
センター長 中田節也
火山の噴火が発生すると、研究者も報道機関も成果や特ダネを上げようと躍起になり、肝心の国民の命や財産を守る配慮が欠けているように感じます。火山研究の成果をきちんと国民に還元し、正確な情報を伝えることが重要です。そのために、研究過程で取得したデータを、一元的にとりまとめ、有効活用できる仕組みが必要です。教育機関とも連携し、火山研究のプロが知恵やノウハウをしぼって次世代研究者の育成も進めています。数年後には確実な成果が見込めることでしょう。
