災害過程の科学的解明による持続的なレジリエンス向上方策に関する研究開発
社会科学で防災・災害対応を変革
災害とは単に人命や財産が失われることに留まりません。その本質は「日常性の崩壊」と言われます。災害への備えとは、建物やインフラを強固にすることだけで達成されるわけではありません。私たちの社会の制度や仕組み、組織や個人の能力、あるいは文化として、災害から速やかに立ち上がる力を備える必要があります。
このために、防災科研では、災害発生によって社会にどのような被害が発生し、どのような回復過程を辿るかを、防災実務や災害現場との協働を通じ、科学的に明らかにします。そしてその理解に基づいた効果的な防災対策・防災教育・防災政策の提案を目指します。
災害過程のデジタルツインの開発
応急対応DXやEBPMに必要な災害後の対応や社会のシミュレーションと評価を可能にするため、被害・影響・対応・復興のモデル、施策評価のためのレジリエンス指標を構築し、災害過程のデジタルツインを開発します。
防災基礎力の評価と向上に関する研究
地域防災力に関する探索的調査を行い、地域の防災基礎力を評価できる尺度の開発を行います。また、地域防災ファシリテーション形の高度化を通じて、地域防災と学校防災を支援する人材の育成手法と、その実践に活用できる情報プロダクツを研究開発し、モデル地域での行政職員、地域リーダー、教職員を対象に効果検証を行います。
レジリエンス・ファイナンスに関する研究
企業の事業継続力向上に向けて、事業継続の取り組みを誘引するファイナンスの仕組みの構築を図ります。具体的には、現場とのアクションリサーチを通じて、個社・サプライチェーン等の企業の集合規模に応じたリスク評価と対抗戦略の検討を行い、コストが比較的安価で事業継続において効果が見込める非市場的な戦略について、資本市場等を活用したファイナンスによって誘引する仕組みを検討します。
応急対応DXによる変革的ガバナンスの実現
総合知に基づき、市町村の災害応急対応力の持続的向上を、以下の三つの機能をクラウド上のサービスとして実現します。
- 総合シミュレーション技術を用いた意思決定の高度化
- 世界標準に沿った災害対応業務の構造化とそれに基づく業務支援
- 災害対応記録の自動化およびそれを活用した訓練サービスの提供