地震津波火山ネットワークセンター
全国各地の“今”がわかる
地震・津波・火山の観測網を展開
地震や津波、火山の噴火といった自然災害に立ち向かうには、そのハザードの現状を正確に把握することがまず重要であり、それには質の高い「観測データ」が大量に必要とされます。
日本のどこで発生してもデータを取りこぼさず、かつ、できるだけ速やかに正確なデータを把握できるよう、陸域・海域に張り巡らされた観測網が陸海統合地震津波火山観測網「MOWLAS(モウラス)」です。
2017年11月に統合的な運用を開始したMOWLASは、今日も全国津々浦々まで注意深く目を配り、地震・津波・火山災害の軽減に貢献しています。
日本全国を網羅する
陸域にはさまざまなタイプの地震の揺れを計測する地震計など、海域には地震や津波を計測する地震計や水圧計など、日本全国に約2,100の観測点を張り巡らせています。
-
微小地震
高感度地震観測網 Hi-net
-
強い揺れ
全国強震観測網 K-NET
基盤強震観測網 KiK-net -
幅広い周期の揺れ
広帯域地震観測網 F-net
-
火山
基盤的火山観測網 V-net
-
北海道沖から房総半島沖までの海域
日本海溝海底地震津波観測網 S-net
-
紀伊半島沖から室戸岬沖までの海域
地震・津波観測監視システム DONET
リアルタイムで把握する
MOWLASによってリアルタイムでハザードの様相を把握することは、適切な災害対応につながります。観測されたデータはデータセンターに集約されるとともに、ウェブサイトなどで広く公開・発信されており、誰でもアクセスできます。たとえば「強震モニタ」では日本列島の今の揺れを可視化し、ライブ中継しています。
-
MOWLASが観測した地震データ
観測データを活用してより災害に強い社会を目指す
観測されたデータおよびそれを用いる技術は、社会のさまざまな場面で活用されています。たとえば防災科研が気象庁などと共同で開発した技術は、気象庁による緊急地震速報に使用されています。さらに、速報に利用されているデータの約80%は、防災科研の提供によるものです。また、新幹線の緊急停止などの防災対策においてもMOWLASの海域観測データが活用されています。
南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の整備
南海トラフ地震の想定震源域のうち、まだ観測網が設置されていない高知県の室戸岬沖から宮崎県沖の日向灘にかけた海域に、地震と津波のリアルタイム観測を目的とした大規模な海底観測網の整備を進めています。
地震・津波・火山災害のデータを確実にとり、
少しでも被害を軽減するための利活用を
センター長 青井 真
日本は世界でも有数の自然災害の多い国です。当センターでは、世界に類を見ない大規模で高密度な観測網を構築してリアルタイムデータを得ることで、災害状況を確実に捉え迅速に対応することにより、被害を軽減することを目指しています。また、災害の正確なデータを後世に残すことで防災に貢献しています。地震津波火山観測の中核的機関として、これからも地震・津波・火山に関する基盤的調査研究の進展に貢献し、災害を観測し予測するための研究開発を推進していきます。